Appleのボード類

Macintosh Display Card 8●24 GC

Am29000が載った豪華なNuBusグラフィックカード。 Am29000はレーザープリンタ等でも時折見かけるCPUで、後継のAm29030はFDDIカードで採用事例があり、最終的にこの系列の設計がAMD K5 に設計が流用された [ascii.jp] というチップだ。

当時のカタログを見ると、Am29000で動くQuickDrawアクセラレーションソフトウェアは、Macのシステムフォルダに配置されており、起動時に読み込まれるという先進的な作りになっている。 命令キャッシュ(SRAM)は64 KBytes 搭載している。 この作りだと、例えば発売されてお客さんの手元で動くまでにソフト側を安定させられれば良いので、発売を早くできて便利だ。

ビデオカードとしては、2 MBytes のフレームバッファを持ち、SIMMで追加の2 MBytesを拡張でき、出力解像度は最大1152×870で24ビットカラーに対応している。 ただし、このカードは対応しているドットクロックが12.2727, 30.24, 57.2832, or 100 megahertzというのがスペックシート上の情報 [archive.org]で、一般的なビデオフォーマットだとこれはそれぞれ NTSC 480i, 640×480p66, 832×624p75, 1152×870p75に相当するので、現代で一般的なXGA-2互換の1024×768とか1280×1024には対応していない模様で、実際15ピンのモニタアダプタでこれらの解像度を指定してやっても映らなかった。 この挙動はGambaさんの情報と一致する。
Apple Macintosh Display Card 8●24 GC Back of Macintosh Display Card 8●24 GC
(半田面の写真中、二箇所ダイオードが飛んでいる部分については元通り実装してから動作を確認した。)

Apple公式情報としてSystem 7.5での32-bitモードの動作に非対応 [archive.org]なこのカードではあるが、Mac IIci と漢字Talk 7.5.5 の組み合わせでは、24-bit modeにしても描画不具合が目立って利用が難しい。 漢字Talk 7.1までで使うのが良さそう。 上記対応解像度の話も合わせて、ボードの実装が高級感があることを除いて積極的に選ぶ理由に乏しいボードではあるが、実装のかっこ良さが際立っているので現用中。

8●24GCでNorton System Infoを回した様子。高解像度なのは良いとして、あまり速くないというか、はっきり言ってしまうと、(略)

Mac IIci のオンボードのビデオとアクセラレーション有効のこのボードを比較して、矩形領域のコピーは体感できるくらい速くなって、Eric's Solitaire Sampler のカード配りのアニメーションは実際良い感じに高速化する。 しかし実装が特殊だからなのか同ゲームの中でも描画不具合は目につき、本当に使いこなしが難しいボードだ。 そこがかわいい。

漢字トークフォントカード 630-0174-A

全く情報がない謎のNuBusボードとして入手していたが、このページに掲載していたところ、漢字トークフォントカードであるとの情報をいただいたもの。 Mac II Kanji ROM Cardと呼ばれているものと同じように見えていて、Mac II日本仕様にて一部フォントをこのROM CARDで代用していたという情報がある [tcp-ip.or.jp]。 ボードの番号はシルクで630-0174-A, PCB 820-0227-Aと書いてある。 いくつかの74シリーズのロジックと、NuBusのデバイスIDとかのROM、および2つの大きなROM 342-0605-A MN234000AJL ⒸApple 87・7Ḏ9B2, 342-0608-A MN234000AJH ⒸApple 87・81̲2B2が搭載されている。
Apple Unknown NuBus Board 630-0174-A PCB 820-0277-A Apple Unknown NuBus Board 630-0174-A PCB 820-0277-A

使い方は現在調査中で、もしこのボードの使い方をご存知の方がこれを見ていたら、下記Contactのところにあるフォームから情報ください。

Quadra/Centris PowerPC Upgrade Card (820-0547-A)

Centris 650とかQuadra 650 の、一番端のNuBusスロットの横にあるソケットに刺さりそうな、PowerPCアップグレードカード。 搭載CPU はPowerPC 601 80 MHz (IBM PPC601FDA-080-2) で、このカードを用いることでCentris やQuadra がPower Macintosh 7100/80相当になる。
Apple Quadra/Centris PowerPC Upgrade Card 820-0547-A Apple Quadra/Centris PowerPC Upgrade Card 820-0547-A

特筆すべきはARMロゴが書いてあるチップが載っていることで、Newton と並んでApple のARMコア使用の初期の例ということになりそう。 このチップはVLSI-ARM 9416BS 483901 VY16638-343S1150-b N Ⓜ © 1993 Appleと刻印されている。 使われている雰囲気から見て、起動後の初期化のときのシーケンサーとして使っているとか、マイクロコントローラ的な使用方法と想像する。

他には、部品面に 32 KBytes SRAM KM68257BJ-15 ✕2 (合計64 KBytes), 128 KBytes SRAM TC55B8128J-15 ✕8 (合計 1 MBytes)が搭載されている。 ハンダ面に©APPLE 1983-94 ALL RIGHTS RESERVEDと書いてるROM 341S0056, 341S0054, 341S0057, 341S0055 が載っている。