SGI Visual Workstation 540 (VWS540) は、4×Slot-2のワークステーションで、BIOSの代わりに専用ファームウェアが載っているため、Windows NT4の専用版とWindows 2000でしか動かないという不運な機械だ。 姉妹機にVisual Workstation 320があり、こちらは2ソケットのため、比較的入手が容易な製品版のWindows 2000 ProfessionalのCD-ROMからOSのインストールが可能だが、VWS540は4ソケットのため、ライセンス上Windows 2000 Serverが必要になる。
Windows 2000 Serverは中古屋で探しても良いのだが、私の場合MSDNが使えるので、そちらから合法的にダウンロードすることができる。 ところが、Windows 2000 ServerはMSDNのCDに入っているのに、VWS540はそのままでは起動できないのでその回避策などをメモしておく。
なお、作業に使った環境はDebian 7.0 Wheezy on x86_64で、インストールしようとしているのはWindows 2000 Serverの英語版である(日本語版の環境はすでにIntergraph TDZ2000 GX1があるため)。
マイクロソフト事情にあまり詳しくないので、実はMSDNのCDは複数種あるのかもしれないが、必要なのはWindows 2000 Serverのi386ディレクトリがあるディレクトリ (~/i386/../)以下だけのようだ。
VWS540はファイルシステムさえあれば良い(i.e. ブート可能CD-ROMである必要はない)ので、単純にこのディレクトリ(私の持っているCDではserver
)をハードディスクにコピーする。
cp -aR server ~/tmp/
で、i386/txtsetup.sif
の[SetupData]
にあるSetupSourcePath
を\
に書き換える必要がある。
これをしないとEULAが見つからない、といったエラーが出てセットアップが継続できなかった。
vi i386/txtsetup.sif
ISOイメージはmkisofs
、といいたいところだが、Debianではなぜかgenisoimage
とリネームされているらしい。
最近こういうの増えて使いにくくなってる気がする。
ともかく、JolietとRockRidgeで作ったところうまくいった。
genisoimage -o ~/tmp/w2kserv.iso -J -R server
あとはCD-RWに焼く。 VWS540に元から入っていたCD-ROMドライブは4倍速のCD-RWを読み込むことができた。
wodim -dao ~/tmp/w2kserv.iso
VWS540では、SCA80のSCSIディスクを金属製のマウンタに載せることで最大3台搭載可能である。 一番上がシステムドライブ。 VWS540は起動パーティションが必要で、これはファームウェアのパーティション切るオプションを使うと自動で200MB切ってくれる。 ところが、少なくともファームウェアバージョン1.1005では、Seagate ST136475LC (36GB 7200RPM UW)はハングアップしたり失敗したと表示したりしてうまくパーティションが切れなかった。 差動SCSIじゃないからかな? Fujitsu MAN3735MC (73GB 10KRPM U160)はうまく使える。 Fujitsu MAP3147NC (147GB 10KRPM U320)はデータディスクとして問題なく使えている(システムディスクとして使えるかは試していない)。
パーティションさえ切ってあれば、ファームウェアのメニューからインストールを選ぶだけで、迷うところはない、はず。
なお、私の環境ではインストール直後にEthernetがAuto-MDIXが有効なスイッチではリンクアップしなかったので、古めのスイッチで接続する必要があった。 PHYの調子が悪いのかドライバが悪いのかは不明だが、リリースノート [sgi.co.jp]に
Silicon Graphics 320/540 Visual WorkstationにはIntel 82557 または 82559 Ethernetチップセットを利用した Ethernet ネットワークアダプタが組み込まれています。Windows 2000 CD に含まれる Intel Ethernet ドライバでは転送速度が遅くなる場合があります。
と書いてあるからインテルからダウンロードしたドライバを入れれば問題無くなるかもしれない (試していない)。
まだsgiが元気だったころ(具体的にはRackableになる前あたりまで)、以下のファイルは公式から入手可能であった。 私は無事ダウンロードしてあったのでそれを使います~
SHA1(sgi_ssk.exe)= f009ed43d87d8d5b89761f88fe499a077e0dbfd7 SHA1(sgi_ssk_jpn.exe)= 4cc49fa46319a8ef48e9ed1efe210fe3e06fd47f
これを入れるとデバイスマネージャに警告アイコンみたいなのがついたディスプレイアダプタが表示されるが、マニュアルに書いてある通り仕様だそうですので気にしないように。 また、Software Suppliment Kitに入っているファームウェアのバージョンは1.1004で古いので、注意が必要。
今回 Windows 2000 SP4 → SP4 Rollup 1 → SSK の順でインストールし特に問題は起きなかった。