DEC

VAXstation 4000 60

念願のVAXを手に入れました。MMJコネクタを変換しないとシリアルコンソールが出せない。 ブラックボックス・ネットワークサービスが未だにDEC423 MMJケーブルを売っていたので(2013 1月)それを買い、 2つに切ってDE9コネクタをハンダ付けしてシリアルコンソールを出せるようにした。その時のshow config結果。 普段はVMS 5.5で使っている。
DEC VAXstation 4000 60 VAXstation 4000 60 back

未だにサポートーページが残っていて [hp.com]、CPUは55 MHz, L1=2 KB, L2=256 KB とのこと。 CPUは21-31758-03/21-31760-01/21-31759-01で、Mariahと呼ばれているらしい [chipdb.org]。 日本DECのページのアーカイブ [archive.org] によると:

1990年10月 Mariah chip set はRigel chip setを改善したもので、 1.0マイクロメータ CMOSテクノロジにより生産され、VAX 6500システムに搭載。

1989年7月 Digitalの第3世代32ビットマイクロプロセッサであるRigel chip setは 1.5マイクロメータのCMOSテクノロジにより生産される。 Regel chip setを搭載したVAX 6400システム、続いてVAX4000システムを出荷。 RigelはVAXアーキテクチャにベクトル機能を拡張するもの。

とのことなので、Digital Technical JournalのVolume 2 Number 2 のVAX 6000 Model 400 Systemのマイクロアーキテクチャ的な話[7] がある程度参考になるほか、ダイ写真 [trailing-edge.com]マイクロコードのソース [trailing-edge.com]もなぜか公開されている。
VAXstation 4000 60 interior VAXstation 4000 60 CPU

NetBSDやOpenBSDをネットブートするときに限った話だが、*BSDのカーネルがデバイスをプルーブするときにリンクダウン状態でないと、Lance Ethernet (le0)が認識されず、dmesgに全く出てこなくなる [mail-index.netbsd.org]。 うまく動かすには、chevron promptでboot esa0と打って、netbsdのカーネルをダウンロードし終わってコンソールに文字が出始める直前に、ケーブルを抜いて、カーネルにle0を認識させる。 そして、rootfsを探すためにdhcpのリクエストを投げる前にケーブルを戻す。 そういう努力をして起動したNetBSDの起動メッセージ

DEC 3000/300

DECの初期のAlphaマシン, DEC3000シリーズの最下位のモデル。裏側に J-OVMS AXP 1.5と書いてあるのでVMSで使われていたらしい。

RS-232C端子と思しき物としてPC-98やSunとちがってオスのコネクタがついている。 ピンアサインは同じようだけど、 ジャンパー設定でシリアルコンソールにして 変換噛ませて繋いでも何も出てこない。基板の8連LEDは、電源投入後0xFDで動きが止まるので メモリエラーらしいが、メモリ(72ピンSIMM)を複数種刺し替えても症状変わらず。

CPUボードの上のレギュレーターが信じられない程熱くなるのも何かのヒントかもしれない。 CPUモジュールの74ABT16501が異常に発熱した跡があるので、この部品も怪しい。
DEC 3000/300 DEC 3000 logo back of DEC 3000/300 motherboard

DEC 3000/800

EV4/200MHzで、当初メモリが576MB搭載されていた. 2013-02-16にいただいた。 13-Oct-1993のDECnews for Press and Analystsに新製品として紹介されている [altervista.org]。 DEC 3000/300と異なり、Alternate console (シリアルコンソール)はMMJから出てくる。 背面のスイッチをMMJコネクタ側に倒すとAlternate consoleモードだ。 フロントにLEDで光るデバッグ用の窓があって、この表示がかっこいい。 奥行きがかなりあるので、置く場所を選ぶ。 構成情報
DEC 3000 Model 800 (M800) back panel of DEC 3000 800 Digital logo on the DEC 3000 800 Diagnostics LEDs on the DEC 3000 800

OSF/1に加え、外付けHDDにNetBSDを導入した。 CorrectableなECCエラーが発生していたので、最小単位である8枚のメモリを抜き、448 MBになった。 メモリは64-bitの専用SIMMだ。
DEC 3000 Model 800 Motherboard Proprietary SIMM for DEC 3000 800 NetBSD dmesg on the DEC 3000 M800

AlphaStation 255/300

PCI/ISA で、EV45 CPU (21064A)搭載。 256 MBのメモリ(72 pin SIMM * 8枚)。 ノード名COTTONAlphaStation 500 (ノード名APPLI)と同じOpenVMS V8.3 AXPが入っていて、VMSclusterにしていたが、AlphaStation 500 がリタイアしたので単独で動いている。

この機械の前面のファンは温度検知して回転数が変わり、コールドブートするとVMSが上がって来るくらいになって初めて回り始める。 電源を入れてもファンが回らないからといって必ずしも焦る必要はない。

2009年現在日本語のWebサイトでVMSを扱っているところが非常に少ないのは悲しいところ。 結構高機能だし、日本人は(何故か)MS-Windowsが好きみたいなので、NTの源流にあたるVMSが 流行らない理由が分からない。ANALYZE/SYSTEM CLUE CONFIG
Digital AlphaStation 255 and 500写真下 Digital AlphaStation 255 and 500写真下 Digital AlphaStation 255

2008年に電源から煙を出したため急いで電源を抜いて、動作させられない状態になったが、電源はAT電源の普通のコネクタと、3.3Vの拡張コネクタ 2本(緑がすべて+3.3V)という構成だったので、ATX電源からの変換ケーブルはすぐ作れた。 今では問題なく動作する状態。
AlphaStation 255 extra power cable

AlphaStation 255/233

PCI/ISAの21064A システムで、AlphaStation 255/300とはCPU周波数が違い233 MHz版。 2020-05-15にいただいたもので、外装が非常にきれい。 233 MHz版と300 MHz版ではCPUヒートシンクの形状が異なり、233 MHzのものはヒートシンク中央付近にフィンがない。 共通の仕様として、ファンの速度をCPU温度でコントロールするようになっているが、温度上昇が心配だったためかこの個体ではファンは直接+12Vに繋がれていて、常に最大回転数で回るようになっていた。 動作確認時の注意点として、PS/2キーボード・マウスの差込口が通常のPC互換機などと異なり、上側がキーボードで下側がマウスであることが挙げられる。
DEC AlphaStation 255/233 DEC AlphaStation 255/233 show config

この機種は内蔵クロックの電池が BR2032 (CR2032)で、交換は簡単。 交換後にAlphaStation 255 quirks [abrij.org]に書いてあるisacfg -init, add_sound, init の手順でISA設定を初期化しないと、起動時にNo sound device in ISA table. Skipping sound init.と言われてサウンドカードが初期化されないので注意。
DEC AlphaStation 255/233 Motherboard. 54-24631-01 D05, KA644SMFWH

このマザーボードは、通電前の目視での確認で、パラレルポートの裏側にあるC127のタンタルコンデンサに焼損痕を発見した。 実装場所がポート挿抜で力がかかる場所なので、そのストレスで故障したのか? AlphaStation 255/300 では、同じ場所に2.2 μF 35V が実装されているので、積層セラミックコンデンサで2.2 μF 50Vのものをつけておいたところ問題なく動作している。
C127 capacitor (burnt) on DEC AlphaStation 255/233

物理的な干渉などがあって、現在手元に接続できるHDD ないため、倉庫に行く際に回収してきてつなぐ予定。

AlphaStation 600A 5/500

EISA/PCI構成のEV56(21164A)@500MHzのマシンで、L3キャッシュが8MBある [archive.org]。 背面の品番はPB620-A9とPB62U-CAで、フロントパネルの機種名も上から貼られたように見えるので、アップグレード品のようだ。 AlphaStation 600とAlphaStation 600Aはケースは同じように見えるが、マザーボードは別物だ (AlphaStation 600はマザーのみ持っている)。 AlphaStation 600はマザーボードに直接CPUが実装され、メモリはドーターボードに増設する形式となるが、AlphaStation 600AではCPUとBcache, チップセットがドーターカードに追いやられ、メモリスロットはマザーボードに実装されている。 メモリはECC SIMMだ。
AlphaStation 600A back of AlphaStation 600A inside the cover CPU board SHOW CONFIG

AlphaPC 164 / Visual Technology VT-Alpha 500AXP

DECのAlphaPC 164 [5]というEV56が載るマザーボードをメルコがMMV-XA164Bとしてクローンして、Visual Technologyが組み立てたもの。 シルクにはMPC164-AA BUFFALOと印刷されていて、MMV-XA164Bは紙に印刷されて貼られているだけ。 国産のAlphaマザーらしいが、内容はPC164そのもので、SRMでもPC164と表示される(show config)。 21172チップセットで、SIMMを8枚あるいは4枚使うが、使う枚数によりジャンパを設定しなければならない。 また、4枚だとメモリバスが128-bitしか埋まらないので、メインメモリのバンド幅が半分になって辛い。 36-bit, 70 ns, 64 MB のSIMM を使うことができ、合計512 MBのメモリを搭載可能。 基板サイズや電源コネクタはATXだが、PS_ONはいつもGNDに落ちているようで、電源を供給すると常にスイッチが入っている。
Visual Technology VT-Alpha 500AXP back Buffalo MMV-XA164B (DEC Alpha PC164 clone)

オンボードのCMD 製のIDE インターフェースは破損しているのか、SRM 環境ではshow dev でのドライブの認識, NetBSD 8.1, OpenBSD 6.6, CentOS 4.3 でのドライブの認識を含めて全く使えなかった。 このマザーボードにはNIC やSCSI インターフェースがついていないため、別途PCI ボードを使うことになる。 当初Asus PCI-SC200 (Symbios 53C810A) が載っていたが、このボードは50 pinのNarrow SCSI のみの対応で、直接つながるHDDの在庫が逼迫していた。 そこで、68-pin のSCSIコネクタがあるTekram DC-390F (Symbios 53C875) に交換した(lspci)。 DC-390F はSRM V4.8-1では認識せず、最新のV5.5-1 で認識、LinuxまたはNetBSDのインストール・起動まで問題なく行えた。

AlphaPC 164SX / Visial Technology VT-Alpha Pc

DECから販売されていたATXサイズのマザーボードAlphaPC 164SX [4]をVisual Technologyが普通のATXケースに入れたもの。 全体的に普通のPCに近い作りをしていて、IDEのHDDが使えるし、AlphaPC 164と異なりUnbuffered SDRAM DIMMが4本、合計512 MBytesまで使える。
Visual Technology VT-Alpha Pc back of VT-Alpha Pc internal components of PC164SX

プロセッサは21164PC (PCA56)という廉価版の533 MHz版が使われている。 21164PCは高コストパフォーマンスを狙ったプロセッサで、Motion Video Instructions (MVI)をサポートしている。 21164PCは0.35 μmのものと、0.28 μmのものの2種類が存在する [1] [2]。 0.35 μmのものはL1キャッシュが命令16 KBytes, データ8 KBytesなのに対し、0.28 μmのものはそれぞれ32 KBytes, 16 KBytesと倍増し、オンチップのライトバッファも6エントリから8エントリへと倍増している。 プロセスが微細化しているので動作電圧も外部3.3 V/内部2.5 V→外部2.5 V/内部2.0 Vと下がっている。 533 MHz時の消費電力も、35 W→18 Wと半減している。 残念なことに、この機械に載っているのは0.35 μmの方のタイプのものだ。

Debian 5.0で使っているが、VMSかOSF/1の方が良いかもしれない (構成情報)。

Celebris GL 6200ST

DECのSocket 8, Pentium Pro 200MHzのシステム。 Model: B16WW[archive.org] に日本DEC公式の装置諸元表が残っている。 ケースの見た目や構造がAlphaベースのPersonal Workstation 600auに良く似ているのでゴミ捨て場で簡単に見つけ出すことができたが、 実際の順番は逆で、NT 用のAlpha マシンをPC用のケースに詰め込んだという順番だったらしい [6]。 Alpha のPWS と比較して、ケース 前面扉がないので、電源スイッチやリセットスイッチが押しやすい。 発表は1996-Sep-17 [impress.co.jp]。 新しいBIOSだと自分のことをDigital PC 5400と呼ぶ。
Digital Equipment (DEC), Celebris GL 6200ST back of Celebris GL 6200ST

マザーボードもPersonal Workstation 600auと同じく、上半分と下半分が分離する。 上半分は6層基板で、ほとんどの部品はこちらに載っている。 CPUはデュアル構成にもできるようなパターンがあるが、ソケットは未実装。 SIMMも8枚分のパターンが有るが、実装されているのは6スロットのみ。 ちなみにメモリはパリティ無しが使える。 Matrox Milleniumをオンボードで搭載していて、Millenium用のメモリボードのソケットも存在する。 下半分はEthernetコントローラ(21143)やサウンド回路、ISA×4/PCI×2のコネクタなどが存在する。
Motherboard of Celebris GL 6200ST

起動時にDECのdigitalロゴを表示できる(デフォルトはオフ)。
BIOS splash screen of Celebris GL 6200ST

最新BIOSは[archive.org]からダウンロードできる。 最新版はv1.09で、このBIOSを焼くためにはBoot blockのジャンパを有効側にしておく必要がある (README.TXT参照)。 少なくとも、この最新版のBIOSを使えば、8×64 Mbit=64 MBytesのSIMMを6枚刺しで384 MBytesのメモリが使えた。

Linuxで使うにはいくつか工夫が必要。 まず、内蔵Ethernetを10BASE-T(FDX)で使うにはtulipoptions=4を渡す必要がある。 サウンドのES1888もPNP非対応なためパラメータ指定が必要で、デフォルト設定ではsnd-es18xxport=0x220 mpu_port=0x310 irq=5 dma1=1 dma2=5 isapnp=0と指定すればよい(この機種はなぜかMPUが0x330ではなくて0x310, 0x320からしか選べない)。 Debian 8 (Jessie)なら、/etc/modprobe.d/onboard.confを作って、

options tulip options=4
options snd-es18xx port=0x220 mpu_port=0x310 irq=5 dma1=1 dma2=5 isapnp=0

と書いて、/etc/modulesfloppysnd-es18xxを追加し、update-initramfs -uを動かせばOK. 簡単でしょ? ハードウェア構成情報、起動メッセージなど

Personal Workstation 600au (#1)

21164A搭載のコンピュータ。2013-12-08に戴いた。 このシリーズは元々NT 向けに設計して、のちにTru64 でも検証されて発売されたという経緯とのこと [6]。 日本DECの発表は3-Jul-1997 [archive.org]XP1000と非常によく似ているが、XP1000で謎の目隠しされた穴はこちらのマシンでは有効に利用されているのであった。 あとやはりDigitalのロゴは、よい。
DEC Personal Workstation 600au back of 600au
Linuxの起動メッセージなど

マザーボードはCPUやメモリスロットが載った上半分と、PCIスロットや各種コネクタが載った下半分に分離する。 上半分のメモリスロット下の銀色チップがおそらくSDRAMコントローラだ。 もう一台の600auではこのチップにヒートシンクが載っていた。 実際動作中はかなり熱くなるので、ヒートシンクはアルミ製の適当なものを貼り付けておいた。
Motherboard of Personal Workstation 600au (Miata)

メモリはRegistered-ECC SDRAMで、色々と試した結果64Mbitのチップまでしか対応していない様子。 普通のメモリモジュールだと128MBまでしか認識しないということになる。 DEC純正のメモリは2階建になっていて、64MBitチップで256MBのモジュールを実現している。
DEC Geniuine memory modules

グラフィックボードはIntergraph INTENSE 3D Pro 2200が載っていた。 DECのマニュアル類を確認したところこれはDEC的にはPowerStorm 4D51Tという名前で売られていたもの。 日本DECの製品紹介 [archive.org] によると:

16MB テクスチャメモリを標準装備しています。 さらに近い将来ジオメトリー・エンジンが4D51Tの専用追加オプションとして発表予定です。

とのことなのでジオメトリ計算はCPUでやるタイプのカードだ。 このあたりの理屈は[8]で詳しく説明されていて、基本的にはホストのAlpha でジオメトリやった方が速いし、将来に渡って性能が容易にスケールするという話だったようだ。
Intergraph Intense3D MSMT440 component side PIN SIDE

Personal Workstation 600au (#2)

こちらも2013-12-08に戴いた。 AV321と書いてあるビデオ入出力・エンコードボードDEC PCI Motion Video Card (54-23296-03)が搭載されている。 C-CubeのMotion JPEGのハードウェアコーデックが載っているように見える。
back Digital Personal Workstation 600au DEC PCI Motion Video Card (54-23296-03)

ビデオボードはPCIスロットを2つ占有するPowerStorm 4D60T (PBXGI)が搭載されていた。 2つ占有するというのはただ単にスペースの話ではなく、差込口も2つ使う。 これはPowerStorm 4DT シリーズに属していて、Intergraph のRealiZm シリーズをベースに、Tru64 用のドライバをDEC が作って、それをNT にも移植したというものらしい [8]。 シルクにはIntergraph MSMT410と書いてある。 プラスチックカバーを開けるとメモリスロットが出てくる、凝った設計のカードだ。 日本DECの製品紹介 [archive.org] によると:

24DBプレーン、32ビットZバッファ、32MB SDRAM、24DBダブル・バッファ、8ビット ・アルファ・プレーン、8DBビット・オーバーレイ・プレーン、ハードウェア・アンチエリアシング機能を装備します。 16MBテクスチャ・メモリを標準で装備し、最大64MB搭載できます。

と書いてあるので、取り外せるメモリがそのTRAMということなのだろう。
DEC PowerStorm 4D60T PowerStorm 4D60T pins PowerStorm 4D60T Memory Slot

VT-Alpha6 500DP

Visual TechnologyのEV6マシン。 Alpha 21264-4 500 MHz Bcache: 4 MB を2台搭載している (show config)。 マザーボードはCompaq AlphaPC 264DPであり、以前立て続けにCPUを焼損させたAlpha Processor Inc (API), UP2000と異なる。 CPUモジュールもAPIのものではなく、はるかに大きい、MMJコネクタや電源コネクタを搭載したものだ。 CPUクーラーのファンも口径の大きいものを使っており、騒音はUP2000マザーのものよりはるかに小さく、一般的なデスクトップPC並である。 なお、この内部の構造はAlphaStation DS20Eと近いが、DS20EにはUSBがあるので部品自体は異なる。
Visual Technology VT-Alpha6 500DP back of VT-Alpha6 500DP Compaq AlphaPC 264DP motherboard EV6 CPU module
(写真でネジが脱落してCPU ボードに落ちているが、無事取り除いて動作させている)

私の限られた経験からは、APIの製品は避け、DEC/CompaqのマザーボードやCPUモジュールを使うのが安心であると言える。

Professional Workstation XP1000

異なる時期に拾った2台のうちの1台が生きていた。プロセッサはEV67 667 MHz, 4 MB L2。 メモリは一般的なRegistered ECC SDRAMが使えて、現在2,048 MBytes になっている。 日本での500 MHzモデルの発表は2-Feb-1999で [archive.org] 、667 MHzモデルの発表は27-Jul-1999 [archive.org]。 Tru64 UNIX V5.1B (Rev. 2650)をインストールし、使っている。

この機種は、ケース上部に配置されているCPUとメモリソケットが載った基板と、IO関係が載った基板の2つで実装されている。 2台のうち1台は、電源は入るもののコンソールに何も出てこず、動く方と部品を交換して試した結果、後者のIOが載ったマザーボードが故障しているようだ、という結論が出た。 基板は高価な作りをしていて、コンデンサは積極的にタンタルコンを使っている (PowerMac G3 B&WやAMI MegaRUM IIもこういう部品選びをしている)。
Compaq Professional Workstation XP1000 Alpha 21264 EV67 computer back of Compaq XP1000 Compaq XP1000 motherboard EV67 on XP1000

ビデオボードには、Compaq PowerStorm 300 [PBXGD-AD]を使っている (Evans & SutherlandのREALimage 2100ベース)。 このカードはLinuxではドライバが無いためコンソールとしてのみ動作する。 というわけで、そばにいたXP1000オーナーでLinuxを使っている人にお願いし、私が持っていたELSA GLoria Synergyと交換することでこのカードを手に入れた。 PowerStorm 300を使うには、HPのウェブサイトからドライバをダウンロードする必要がある。 ドライバをインストールするまで、XがVGAドライバで動いて、色数が少なく見るに耐えない画面表示になる。 なお、Tru64 でOpenGLを使うにはOPEN3D PAKが必要。
Compaq PowerStorm 300 (PBXGD-AD) Compaq PowerStorm 300 (PBXGD-AD) Compaq PowerStorm 300 (PBXGD-AD) says Digital PBPSPERPCI Compaq PowerStorm 300 (PBXGD-AD) Tru64 でのxglinfo

AlphaStation DS20E

ラックマウントなのでAlphaServerかと思いきや、背面ラベルの型番DA-56RAA-FWはAlphaStation DS20E, Tru64, 833MHz, 1 GB/8 MBとのこと [3]。 実際の構成は、CPUはラベル通り2×EV68A 833 MHz (Tru64 からはEV6.8AL (21264B)と見える) 、メモリは増設され2 GBになっていた。 他にSeries ET2002, DH-56RAA-AXなどの型番が印刷されたラベルも貼ってある。 グラフィックボードは3Dlabs Oxygen VX1 (32 MB)。 前面パネルのデザインはAlphaStation 255と色・通気口の形が似てる。 パネルを外すと6台分のHDDスロットがある。 このシステムはラックマウントサーバーとしては非常に静かだが、デスクトップPCと比べるとAthlon MP のデュアル構成・リテールファンよりは少し静かといった感じで、どちらかというとうるさい方になりそう。 それでも、低めの騒音なので気になりにくい。
Compaq AlphaStation DS20E HDD bay on the AlphaStation DS20E

背面には前述のラベルの他、USBポート、パラレル、シリアル、PS/2キーボード・マウスのコネクタがある。 PCIバスにさされているカードが近代的で、VGAコネクタは青色だし (3Dlabs Oxygen VX1)、Ethernetボードはどう見てもIntelのNICだし、ということで、最初後ろから見たときに単なるPCサーバーとして無視しようとしてしまった。 が、特殊な”ニオイ”に気づいて無事回収したのであった。 実際、背面がAlphaStation 600Aと非常に似ていることがお分かりいただけるだろうか。
back of AlphaStation DS20e

2021年になって改めて各種OSのインストールを試みたが、この構成ではSRMを最新のV7.3 にしてもNetBSD-9.1 やGentoo の2021年1月頭頃の自動ビルドISO (Linux Kernel 5.5)はいずれもCD起動・シリアルコンソール接続でカーネルパニックしてしまい、init 起動までいかない。 それぞれのOSの古いバージョンなら動くのかも。 純正のTru64 UNIX V5.1B はpatchkit 3 を当てるまで再起動に失敗することがあったが、それ以降は安定して動作している。 起動、show configとTru64起動の様子

参考文献

  1. Digital Semiconductor Alpha 21164PC Microprocessor Hardware Reference Manual. Digital Equipment Corporation. Maynard, Massachusetts. Order Number: EC-R2W0A-TE. September 1997.
  2. Alpha 21164PC (.28μm) Microprocessor Hardware Reference Manual. Compaq Computer Corporation. Order Number: EC-RADPA-TE. December 1998.
  3. Hewlett-Packard. QuickSpecs. Compaq AlphaServer DS20E, Compaq AlphaStation DS20E. DA-10445. Version 37. pp. 1-37. October 24, 2003.
  4. AlphaPC 164SX Motherboard Technical Reference Manual. Compaq Computer Corporation. Order Number: EC-R57EB-TE. October 1998.
  5. Digital Semiconductor AlphaPC 164 Motherboard Technical Reference Manual. Digital Equipment Corporation. Maynard, Massachusetts. Order Number: EC-QPFYB-TE. January 1997.
  6. Kenneth M. Weiss and Kenneth A. House: Digital personal workstations: the design of high-performance, low-cost Alpha systems. Digital Technical Journal. Volume 9 Number 2. pp.45–56. Digital Equipment Corporation. 1997.
  7. VAX 6000 Model 400 System. Digital Technical Journal. Volume 2 Number 2. Digital Equipment Corporation. Spring 1990.
  8. Benjamin N. Lipchak, Thomas Frisinger, Karen L. Bircsak, Keith L. Comeford and Michael I. Rosenblum: PowerStorm 4dt: a high-performance graphics software architecture. Digital Technical Journal. Volume 9 Number 4. pp.49–60. Digital Equipment Corporation. 1997.