X68000 XVI Compact [CZ-674C]の修理

多数のウェブサイトでX68000 XVI Compactの電源の修理について扱っているが、このページでは電源に加え、マザーボードでも電解コンデンサに不良が発生している場合の対応について書く。

概要

これがX68000 XVI CompactのマザーボードK7509DE:
K7509DE
銀色の丸い部品が表面実装の電解コンデンサで、今回問題が発生していた種類の部品だ。 この部品を拡大するとこのようになっていて:
failure of SMD electrolytic capacitor on X68000 XVI Compact motherboard
たとえば写真中C42は足が不自然に錆びていて、ダメそうだな…とすぐ分かる。 実際には、見えない部分だけ足が錆びていたりして、同種の銀色の電解コンデンサはすべてダメになっていた。

原理

いろいろなところで言われているが、これらの電解コンデンサに使われている電解液が悪い。 あまりちゃんとした文献を引いているサイトが少ないのでここで上げておくと、 Makoto UE: Chemical Capacitors and Quaternary Ammonium Salts. Electorchemistry. Vol.75. No.8 pp. 565-572. 2007. [dx.doi.org] がよく四級塩と呼ばれるこの電解液が開発された背景や、実際に起きた問題やその後の対応について言及がある (もっとよい文献があったら教えてほしい)。

まあいずれにしても、予想の他早くダメになる電解コンデンサがあって、そういうのは交換するしかない、ということだ。

取り外しかた

下手に外そうとすると基板のパタンを剥がしてしまうので、表面実装の部品を基板から剥がすのに慣れていない場合は(慣れていても安全にやりたい場合も)、こんな感じでやると良い:

  1. 大きめのニッパで、電解コンデンサの上半分をカット!
  2. 小さめのニッパで、基板にくっついている下半分を縦に半分にカット。 切った結果足がそれぞれの断片に一つずつ残るようにする。
  3. プラスチックの台座部分を残し、電解コンデンサの胴体部分を撤去する。 この時小さなニッパで台座と胴体の間の足を切っても良い。
  4. プラスチック部分を撤去。 足を引っ張らないように折るなどする。
  5. ハンダごてで足が固定されている部分を溶かして、足部分をすべて撤去。 この時電解液が蒸発して非常にイヤな臭いがする。 体に悪い。

リスト

というわけで、私の持っている基板ではすべての銀色のを交換した。 電源部分はスルーホールのもので、ここについては研究しつくされているようなので、注意事項等は他サイトに譲る。

区分電圧 (V)容量 (μF)場所
マザボ6.3100C43, C47, C42, C44, C49,
C36, C37,
C26, C28,
C18, C19, C20, C21, C22,
C6
501C48, C348, C351,
C25, C1
6.322C43
500.47C33, C8, C9, C10
6.347C90, C23, C23, C7, C15
254.7C31, C29, C39, C41,
C11, C2, C40
1610C27
ADPCM
PWB
0.4750C1
拡張バス
ライザー
1647C702, C703
6.347C701
電源105600C51, C52
101800C53
3582C54, C57
25100C55, C59, C58, C22
2547C60
503.3C62
2001C11

FDD内部

FDDの制御基板 (上側)の電解コンデンサも同様、交換が必要だった。 取り外すのにほぼ全分解になるモーター基板側にも一つ電解コンデンサが存在するが、これは異なる品種のものなのか、ロゴが書いてある方向が異なる。 LCRメーターで測ったところ容量もそれなりに正常であり、交換不要であった。

下側のFDDのディスク挿入検知のマイクロスイッチ(入口左側)が動作不良になっていて、何回か押してちゃんと導通するようにしてやる必要があった。 またダメになったらリレークリーナーを使う予定.