多数のウェブサイトでX68000 XVI Compactの電源の修理について扱っているが、このページでは電源に加え、マザーボードでも電解コンデンサに不良が発生している場合の対応について書く。
これがX68000 XVI CompactのマザーボードK7509DE:
銀色の丸い部品が表面実装の電解コンデンサで、今回問題が発生していた種類の部品だ。
この部品を拡大するとこのようになっていて:
たとえば写真中C42は足が不自然に錆びていて、ダメそうだな…とすぐ分かる。
実際には、見えない部分だけ足が錆びていたりして、同種の銀色の電解コンデンサはすべてダメになっていた。
いろいろなところで言われているが、これらの電解コンデンサに使われている電解液が悪い。
あまりちゃんとした文献を引いているサイトが少ないのでここで上げておくと、
Makoto UE: Chemical Capacitors and Quaternary Ammonium Salts. Electorchemistry. Vol.75. No.8 pp. 565-572. 2007. [dx.doi.org]
がよく四級塩
と呼ばれるこの電解液が開発された背景や、実際に起きた問題やその後の対応について言及がある (もっとよい文献があったら教えてほしい)。
まあいずれにしても、予想の他早くダメになる電解コンデンサがあって、そういうのは交換するしかない、ということだ。
下手に外そうとすると基板のパタンを剥がしてしまうので、表面実装の部品を基板から剥がすのに慣れていない場合は(慣れていても安全にやりたい場合も)、こんな感じでやると良い:
というわけで、私の持っている基板ではすべての銀色のを交換した。 電源部分はスルーホールのもので、ここについては研究しつくされているようなので、注意事項等は他サイトに譲る。
区分 | 電圧 (V) | 容量 (μF) | 場所 |
---|---|---|---|
マザボ | 6.3 | 100 | C43, C47, C42, C44, C49, C36, C37, C26, C28, C18, C19, C20, C21, C22, C6 |
50 | 1 | C48, C348, C351, C25, C1 | |
6.3 | 22 | C43 | |
50 | 0.47 | C33, C8, C9, C10 | |
6.3 | 47 | C90, C23, C23, C7, C15 | |
25 | 4.7 | C31, C29, C39, C41, C11, C2, C40 | |
16 | 10 | C27 | |
ADPCM PWB | 0.47 | 50 | C1 |
拡張バス ライザー | 16 | 47 | C702, C703 |
6.3 | 47 | C701 | |
電源 | 10 | 5600 | C51, C52 |
10 | 1800 | C53 | |
35 | 82 | C54, C57 | |
25 | 100 | C55, C59, C58, C22 | |
25 | 47 | C60 | |
50 | 3.3 | C62 | |
200 | 1 | C11 |
FDDの制御基板 (上側)の電解コンデンサも同様、交換が必要だった。 取り外すのにほぼ全分解になるモーター基板側にも一つ電解コンデンサが存在するが、これは異なる品種のものなのか、ロゴが書いてある方向が異なる。 LCRメーターで測ったところ容量もそれなりに正常であり、交換不要であった。
下側のFDDのディスク挿入検知のマイクロスイッチ(入口左側)が動作不良になっていて、何回か押してちゃんと導通するようにしてやる必要があった。 またダメになったらリレークリーナーを使う予定.