国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構の運営する科学館「きっづ光科学館ふぉとん」は、京都府と奈良県の間あたりにある施設。 とくに大きな目的などなく偶然訪れたところ、展示室の片隅にひっそりと佇むIntel Paragon XP/S-75MP/834に出会ってしまった。
ParagonはIntelの並列計算機で、i860 CPUをたくさん並べて並列計算ができるもの。 シリーズとしては80286などを並べたiPSCシリーズに継ぐものということになるのであろう。 i860はUNIXワークステーションTitan Vistraで採用例があるほか、Silicon Graphicsのグラフィックカードでもしばしば見かける。 2つの命令をバンドルにして同時実行する機能があり、思想としてItaniumの遠い祖先の一つということもできそう。
そばにおいてあるパネルの説明によると、この機械自体は、1995年の光量子研究センター設立と同時に導入され、寝屋川で運転されていたとのことである。
外観
ドアが空いた状態で展示されていた。
ドアは運転中は光るらしい。 今風に言えばゲーミング機能のアドレサブルLED搭載だ。 残念ながら動いている状態は見ることはできなかった。
コンソールの下にはディスクアレイがある。
3.5インチのディスクが入りそうな大きさだ。
注意書きに、Before opening power down and wait for disks to park
と書いてあるので、この部分はディスクで間違いないはず。
ロゴ
見える範囲ではロゴは2種類あって、1つはコンソールの上の横長のパネルに印刷されており、別のはパネルに埋め込まれている正方形のものだ。
ノードボード
コンソールとディスク入れる部分はさらにドア状に開き、そこにノードボードが詰まっている。 コンソールの裏側にはSCOのライセンスのラベルが貼ってあった。 学芸員さんにお願いしたところ、ノードボードを引き抜いて写真を撮影させてもらえた。 見える範囲にはノードボードは2種類あり、CPUとメモリだけが載っているもの(ラベルMP-128)と、2チャンネルのSCSI (SE)とEthernet, シリアル(?)が載ったI/Oボードのようなもの(ラベルMP-64 SIO)が判別できた。
ノードボード(シルクMP3 NODE BOARD, ラベル PBA 638976-001, N02673923)の部品面にはCPU (i860 XP; A80860XP-50 SX657)含め部品のほとんどが実装されている。 ボードあたり3 CPUということになりそう。
半田面にはDRAM (富士通MB8116400A-60PFTN)の残り半分が実装されていた。 部品面と合計で128 MBytes+ECCということになりそう。
2023-05-07 初稿.