キヤノンLBP-7200Cの前面扉開閉検出の修理

キヤノンLBP-7200Cは、ネットワーク機能無しでUSB接続のみに対応したA4カラーレーザープリンタだ。 これがなぜか不法投棄気味に置かれていたので、環境美化活動(ゴミ拾い)を行った。 電源を入れるとエラーLEDが橙色に点滅、Macintoshに接続してみたものの「フロントドアを閉めてください」といったエラーメッセージが表示され印刷できない。 これをなんとなく動く状態にしましたという内容。

分解方法

  1. USBコネクタが有る側のプラスチックカバーを外す。 裏側のネジ2本と側面下のネジ1本。
  2. 裏側に向かって右上の方に有るL字型のプラスチックを外す。 ネジ2本。
  3. 本体の上面にあるLED・ボタンパネルのリボンケーブルを外す。 LED・ボタンパネル側でリボンケーブルは脱着できないので、無理に引っ張ると切れる。 側面にあるメイン基板側でリボンケーブルを外し、慎重にガイドからリボンケーブルを取り外しておく。
  4. 上面のパネルを取り外す。 上面右奥にネジが一本あるのでこれを外す。 左奥に爪が有るので、これを奥側に引っ張りながら上面のパネルを外す。

前面扉開閉検出機構の場所

本体に向かって右上にある黒いプラスチックの部分がそれ。
前面扉開閉検出機構

犯人

フロントカバーが閉じたときに押されたことを物理的に伝える部品の一部が折れていた。
ザ・犯人

こういう部品は接着剤で補修しても強度が不足し、すぐまた壊れてしまう。 というわけで、この部品が「閉」状態で固定されるようにホットメルトガンで固定してしまった。 危険なのであまりオススメできない方法だ。 なお、開閉検出はこの部品の裏に有る光学検出器で行っている。 また、閉状態だと針金の先が更に奥にある大きなレバーを押し下げた状態になる。

以上で印刷は問題なく行えるようになった。 トナーがほぼ未使用だったのでお得な清掃活動であった。

LBP7200CのCPU

このプリンタの諸元表はCPU: - とぼかした表示になっている [canon.jp]。 本機はキヤノンの伝統的なLIPSコマンドセットではなく、Color CAPTというビットマップを直接送るような方式になっており、たいしたプロセッサは載っていないだろうとは思っていた。 実際に目視で確認できたプロセッサは東芝のTMP91FY42FG (TLCS-900/L1)で、これは16ビットのマイクロコントローラだ [toshiba.co.jp]

他に、128 Mbit SDRAM (SAMSUNG K4S281632K-UC75)とASICが2つ載っている。
Canon LBP-7200Cのメイン基板

完全な修理とLBP-7200CNへのアップグレード

偶然、ネットワーク機能付きの似たモデルLBP7200CNがまた不法投棄されているのを発見してしまった。 こちらはトナーも抜かれ水濡れしていたので、LBP7200Cとの差異と考えられるメイン基板と背面金属パネル、およびLBP7200Cで破損していた部分の置き換え用に開閉検出機構のプラスチックのみ回収した。

LBP7200CNの基板はLBP7200Cと同じような部品だが、ネットワーク用のSoC, AXIS ETRAX FSを搭載している。 AXIS ETRAX FSはGCCのマニュアルではETRAX 100LXと呼ばれている。 このチップはCRIS CPUコアを搭載していて、最大200 MHzで動作する [axis.com]。 命令長は16 bitとのことで、Linux 2.6が動作するとも書いてある。 基板にはこのSoC用のFlashとDRAMチップ (Winbond製)が搭載されている。

結果、このメインのボードを交換するだけで今のところLBP7200CNとして動いてくれているように見える。 また、前面扉の開閉検出機構も正常品に交換したので、全ての部分がメーカーの意図した通りに動作するようになった。
LBP7200CNのメイン基板の部品面 同ハンダ面