Force Inc. GP-1122は、PC-98シリーズ用の拡張バス(通称Cバス)で利用する、TMS340シリーズのグラフィックプロセッサTMS34020を搭載した描画ボード。 TMS340シリーズは、プログラム可能なグラフィックプロセッサとして最初期のもので、シリーズとしてはVRAMと同時発表になったという経緯がある ([1])。 このカードは、 基板の端子側が、通常のPC-98シリーズ用の拡張ボードと比較して数 cmほど外側に向かって出っ張っており、装着するパソコンの背面とツライチにならない。
実際に搭載されているチップは、グラフィックプロセッサがTMS34020GBL-32で、RAMDACがBt473KPJ66であった。 プログラム用メモリは8✕TC514400Zで合計4 MBytes, ビデオメモリが32✕TC524259BZ-10でこちらも合計4 MBytesを搭載しており非常に豪華。
コネクタ側にはFORCE Mini partner
という印刷と、2つのコネクタがある。
PC
コネクタはDサブ9ピンソケットで、おそらく専用ケーブルでPC-98本体からのビデオ出力を入れるためのもの。
CRT
コネクタはPC-98ピンアウトのDサブ15ピンアナログビデオ出力であった。
TMS340はグラフィックプロセッサというだけあって、自前の命令セットを持っていてプログラムを書くことができるタイプの代物だ。 このボードをEPSON PRO-486 (ハイレゾ対応PC-98互換機)で動作させた。 TIGAというのはチップ供給元のTexas Instrumentsのドライバと話すAPIのようなもののようだ。
画面解像度は設定によってハイレゾ98と互換のインタレース1120x750またはノーマルモード互換の640x400が選択可能。 色数は最大16,777,215という表記のものが選べる。 2048x2048 解像度は、1990年代前半に利用可能で、NTTの超高精細画像システム [2]にも使われている Sony DDM-2802Cという超高級ブラウン管のものかとも思ったが、これはピクセルクロック357 MHzにも達するため、このボードに搭載されている66 MHzのRAMDAC では到底ドライブできないのであった。 したがって、何らかのダミー設定か何かだろう。
このボードは、ボード上のプロセッサで必要に応じたプログラムを実行することでアプリケーションに応じた高速な描画を実現可能になっており、機能としてはコプロセッサとかGPUとか呼びたくなる種類のものだ。 このボードは製造番号から見ておそらく1993-1994年ごろのものだが、同時期のWindows GDI専用のいわゆる「ウインドゥアクセラレータ」と比較して、本ボードはメモリが合計8 MBytes載っているなどの点でも豪華そうだ。